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モル(mol)を理解する

高校過程の化学は多くの生徒さんがよくわからない教科の1つにあげています。その1つに「)」の概念がよく理解できないようなので、今日はこの「(mol)」について要点をまとめてみます。

Aさんがビーズ玉を製造している会社に勤めていたと仮定しましょう。この会社では直径約1mmの色の違ったビーズ玉を製造しています。

倉庫にはたくさんのビーズ玉が保管されています。あなたは「倉庫から120,000,000,000,000,000,000,000個の赤いビーズ玉を持って来て」と言われました。倉庫に行ってみるとそこには赤や緑、青、黄色のビーズ玉がごちゃ混ぜに置いてあります。あなたはここから120,000,000,000,000,000,000,000個の赤いビーズ玉を選び出さなければなりません。不可能ですよね。

別の会社の倉庫にもたくさんのビーズ玉が保管されています。しかしこの会社では60,000,000,000,000,000,000,000個ずつ色を区別して箱に詰めてあります。この会社に勤めるBさんは「はい、わかりました。」と言っていとも簡単に120,000,000,000,000,000,000,000個の赤いビーズ玉を持ってくることができました。答えは簡単ですね。Bさんは「赤」と表示された60,000,000,000,000,000,000,000個入りの箱を2箱運ぶだけでしたから。

実はこれが「モル(mol)」の基本的な考え方です。化学では自然界に存在する様々な物質を扱います。そしてその物質は非常に小さな原子や分子といった、いわばビーズ玉からで来ています。
これをいちいち何個と数えていたのでは、Aさんと同じ苦労をすることになってしまいます。

そこで化学では、ビーズ玉の箱のように、1箱に入っている基本の数を、6.0\times 10^{23}個と表すことにしたのです。赤いビーズ玉60,000,000,000,000,000,000,000個入りの箱のように、簡単に個数を選ぶことができるようにしました。
赤いビーズ玉の単位は「箱」でしたが、化学ではこれを「モル(mol)」という単位を使うことにしたのです。

ではどうして1箱に入っている基本の数を、6.0\times 10^{23}個と表すことにしたのでしょうか。

原子の中で最も軽い水素原子を考えてみましょう。水素原子(H)の質量は、0.00000000000000000000000167gです。この水素原子を集めて、ちょうど1gの重さ(1円玉の重さ)にしてみましょう。1gの重さにするためには、水素原子を何個集めればよいでしょうか。次の計算式で求められますね。

1(g)÷0.00000000000000000000000167(g)≈60,000,000,000,000,000,000,000(個)

解りましたか?水素原子を6.0\times 10^{23}個集めれば1gにほぼ等しくなります。

他の原子の質量は水素原子の質量の何倍かがわかっています。たとえば酸素原子の質量は実験の結果、水素原子の約16倍の質量があることがわかっています。

ですから、この酸素原子を6.0\times 10^{23}個集めれば、酸素原子の質量が16gであるとわかることになります。

物質量

基本単位である、6.0\times 10^{23}をアボガドロ数と呼びます。まとめると、次のようになります。
=物質のまとまりの個数のことです。
=6.0\times 10^{23}を1つのまとまりで、その粒子の個数を表したもの
= molと呼び、その物質の粒子の個数を「物質量」と呼びます。

1molあたりの物質の粒子の数を6.0\times 10^{23}/molと書き表し、「アボガドロ定数」(N_A)と呼びます。

原子量

原子量とは相対的な原子の質量のことを言います。これは比の値ですから単位はありません。
基準は炭素原子の質量をもとにします。

分子量

原子量と同じ基準で表した分子の相対的な質量のことです。つまり、分子に含まれた原子量の総和を表しているわけです。

たとえば、酸素分子O_2=酸素原子O×2個ですから、=Oの原子量(16)×2=32となります。

水分子を考えてみましょう。水分子H_2O=H×2個+O×1個となります。
水素原子Hの原子量は1、酸素原子Oの原子量は16ですから、水分子H_2Oの分子量は1×2個+16×1個=18ですね。

当然、原子量と同じく相対的な質量(比の値)ですから、これらには単位はありません。

モル質量は(g/mol)の単位で表します。

モル質量とは、物質を構成する粒子(原子、分子、イオンなど)の1molあたりの質量です。
言い換えると、=その物質の原子量または分子量の値に単位をつけたものとも言えます。

炭素原子12C を例にあげましょう。
12Cの原子量は12です。
ここでモル質量は炭素原子12Cの原子量に(g/mol)を付けた値に等しくなりますから、12g/mol と表せます。

=12g/mol (=1mol )
=12g (=

水分子H_2Oの場合はどうでしょうか。分子量の説明のところで水分子H_2Oの分子量は18とわかっていますから、水分子H_2Oのモル質量は、18g/molとなりますね。

モル質量は式量でも同じことです。ちなみに式量とは、その化合物の構成単位が分子として明確に決められないものを指します。(詳しくは化学Ⅱで)

塩化ナトリウム(NaCl)の式量は58.5です。ですからモル質量は58.5g/molとなります。

では例題です。

Q. 窒素28gを十分な水素と反応させて、すべてアンモニアにしたとすると、アンモニアは何gできるでしょうか。
ただし、原子量は、H=1, N=14とします。

化学反応式を書いてみましょう。

N_2 + 3H_2 ———→ 2NH_3

ここで重要なことを1つ。「化学反応式の係数=モルの比の値」

ですから、この反応式のモルの比は、①N_2 : ③3H_2 : ②2NH_3 =1 : 3 : 2 になります。

1.モルの比から2NH_3N_2の2倍です。

2.Nの原子量=14
N_2の分子量=28
N_2のモル質量=28g/mol
1mol=28g(質量)

N_2のモル数=28g ÷ 28g/mol = 1mol

3.2NH_3N_2の2倍です。(∵1.から)
2NH_3のモル数=1mol × 2 = 2mol

4.2NH_3のモル質量=Nの原子量(14)+Hの原子量(1)×3=17g/mol=17g(質量)

2NH_3のモル数=2molですから、2NH_3のモル質量は、17g/mol × 2 =34g/molとなります。

よって求める2NH_3の質量は34gとなります。

いかがでしたか?モルは初めての人にはなかなか理解できない面があります。よく解らないという方は、原子量、分子量、モル質量の定義をもう一度復習してみましょう。

モルはこれから化学を学習していく上で、重要な「道具」となります。基本をしっかり押さえておきましょう。

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